甲状腺疾患の解説

亜急性甲状腺炎

自己免疫異常により甲状腺組織が急に破壊されることで、一過性の甲状腺中毒症を来します。

 頻度
バセドウ病に次いで多く、甲状腺中毒症の約15〜20%を占めます。

 病態
橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患を背景とすることが多く、自己免疫異常により急激に甲状腺濾胞細胞が破壊され、貯蔵されていた甲状腺ホルモンが多量に流出することで、甲状腺ホルモン過剰となります。

 症状
頻脈・動悸、手足の震えなど。背景に橋本病などがある場合は甲状腺腫大も認められます。

 検査
甲状腺機能検査では、FT4・FT3が上昇し、TSHが低下します。
バセドウ病でみられる自己抗体(TRAb、TSAb)は基本的には陰性。
背景に橋本病があることが多いため、抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体は陽性となることが多いです。
バセドウ病との見分けがつきにくい場合は、放射性ヨードなどを使用したシンチグラフィー検査を行う事もあります。

 治療
症状は比較的軽度であることが多く、また自然に軽快する疾患のため、治療はせず経過観察を行います。症状が強い場合は、症状を抑える内服薬を使用することもあります。
軽快した後、引き続いて機能低下症になることが多いため、経過のフォローが重要です。この機能低下は一過性のことが多いですが、永続性になることもあります。

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