亜急性甲状腺炎
何らかの原因で甲状腺組織が急に破壊されることで、甲状腺の痛みや発熱を伴う一過性の甲状腺中毒症を来します。
頻度
女性に多く、30〜50歳代に好発します。
病態
原因は明らかではありませんが、上気道炎などのウイルス感染症に罹患した後にしばしば発症することがあり、ウイルスの関与が疑われています。
症状
発熱や甲状腺に一致する頚部の疼痛や腫れが認められます。また、疼痛部位は経過により反対側へ移動することもあります。甲状腺中毒症状として、頻脈・動悸、手足の震え、発汗過多なども認められます。
検査
血液検査で、炎症反応(CRPなど)が高値になります。
甲状腺機能検査では、FT4・FT3が上昇し、TSHが低下します。
バセドウ病や橋本病などでみられる自己抗体は一般的には全て陰性です。
甲状腺エコーでは、疼痛部位に一致して炎症性変化が認められます。
治療
痛み、発熱のコントロールを中心に治療を行います。軽症であれば非ステロイド抗炎症薬を使用しますが、痛みや炎症が強い場合は、ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)を使用して治療します。
痛み、発熱は徐々に治まり、これに伴い甲状腺ホルモンも改善しますが、ステロイド薬は必ず徐々に減らしていく必要があります(再燃を予防する為、また、副腎不全を予防する為)。症状が良くなっても決して中断しないように心掛けまし